保管庫から盗まれた飾り卵「アルコンエッグ」は、冒険者によってほとんど奪還されました。
そして迎えた預言の日。はたして、十二賢者は現れたのでしょうか?

「週刊レイヴン」を、ちょっと覗いてみましょう……。

詳細は『 こちら』をご覧ください。
黒衣森の木々の1本、そのまた無数に空いたウロの中の1穴から、鋭いクチバシで一片の真実をつつき出す「週刊レイヴン」主筆のグッドフェローです。
ついに奇祭「エッグハント」が閉幕した。結局、この波乱に満ちた祭りは、いったい何だったのだろうか?

●十二賢者はいずこ?
街を賑わせた……いや騒がせた卵の祭典「エッグハント」が終わった。

預言の日、ジリ・アリアポーさんを信じる人びとは保管庫に集り、固唾を呑んで「アルコンエッグ」を見守っていたが、ついに卵は割れるどころか、ピクリとさえしなかった。否、それは正確ではない。ドードーのヒナならば、いくつか孵ったのだから。

その夜、ジリさんは失神。目覚めたときには、ここ一ヶ月の記憶を失っていたという。そんな虫のいい話があろうか? 筆者はジリさんに取材を試みたが、きょとんとして「どちらさまでしょうか?」と問い返される始末。その表情は、とても演技には見えなかった。
結局、十二賢者の話は虚言だったのだろう。だが、不思議なことに人びとからは、ジリさんを責める声は聞こえてこなかった。
「エッグハント」は、一時は中断も止むなしという状況に陥った。しかし、数多の冒険者の協力により、卵の大半は奪還され、何とか無事に祭りを終えることができた。その時の冒険者の連帯は、我々が忘れかけていた助け合いの心を思い出させてくれた。人びとは賢者には会えなかったが、その贈り物ならば、確かに受け取っていたのだ。


~グリダニア、紅茶川の畔にて~

「やれやれ、どうやら記憶の洗浄には成功したようだ」
男は苦笑いしながら、灯明にかざしていた「週刊レイヴン」を置いた。

「放っておけば、街はパニックだったわ。彼女には悪いけど、まだ準備ができていないから」
背後の樹上から女が答える。

「急がねばならん。感受性に優れた者が、すでに気づき始めている。
そのうち、すべての者が知ることになるが、今はまだ……」
男は煌々と照らす満月を見上げながら呟いた。